今まで離婚に端を発するいわゆる「中年の危機」をテーマにした作品や、恋愛映画などのジャンルはあまり好き好んで観たりはしなかったのですが、たくさんを映画を鑑賞するようになって、どんな映画であれ、物語の根幹は
「人間や社会との関係性の構築→崩壊→再生」
ほとんどの作品は、そういった骨組みのもとに製作されていると言ってもいいと思います
「ラブ・アゲイン」
監督 / グレン・フィカーラ
ジョン・レクア
脚本 / ダン・フォーゲルマン
出演 / スティーヴ・カレル
ライアン・ゴズリング
ジュリアン・ムーア
長年連れ添った妻から突然の離婚を突きつけられ途方に暮れる中年男が、妻への気持ちを断ち切ろうと新たな恋に悪戦苦闘する姿を、彼を取り巻く男女の複雑に絡み合った恋愛模様とともにハートウォーミングに綴るロマンティック・コメディ
切な過ぎるキャル(スティーヴ・カレル)のオープニング…
ニューバランスにGAP、マジックテープの財布にとてつもない哀愁が漂い、くすんでしまった自分自身を磨き直していくその姿に、男なら共感を覚えてしまうのは必至です

昨年観た「フィリップ、君を愛してる」のグレン・フィカーラとジョン・レクアが監督で、このコンビは「笑いあり、涙あり」な構成が非常に巧い

本筋は元夫婦、特にキャルにスポットを当てた展開ですが、脇を固めるジェイコブ(ライアン・ゴズリング)やハンナ(エマ・ストーン)などのキャラクターたちのサイドストーリーも並行して描かれています

キャルの13歳の息子ロビー(ジョナ・ボボ)は、我が家の子守を一途に想い
ナンパなジェイコブは、生真面目な女に翻弄される
エミリー(ジュリアン・ムーア)は浮気相手のデイヴィッド(ケヴィン・ベーコン)に迫られ
キャルがBarで口説いたケイト(マリサ・トメイ)は実は○○だったり…
と全編ドタバタ入り乱れています

登場人物たちもしっかりキャラが立っているので、人数は多いですが、分かりやすいストーリーですね

コメディではなく「喜劇」に徹し、随所に真面目なシーンを挿入すことで風穴を開けるのですが、ベタベタな展開なんだけど、ジ〜ンときてしまう

それもこれも監督のとても丁寧な演出がゆえのもの…
そこに加わる俳優陣の素晴らしい演技

スティーヴ・カレルは、こういう役が本当にピッタリですね

ほんのささいな表情ひとつにも、何重にも塗り込められた感情が表れているように感じます

ジム・キャリーの表情豊かな「動」の笑いに対し、彼はわずかな表情と間を操る「静」の演技が巧いですね

キャルとジェイコブのコントラストが実に素晴らしい化学反応を生んでいます

個人的にはマリサ・トメイが圧巻の可愛さ

登場シーンはわずかでしたが、演じる人次第でチープになりがちなキャラクターですが、彼女が演じることで厚みが増して面白さも倍増です

次期「スパイダーマン」のヒロイン、エマ・ストーンも遊びを知らない無垢な女の子の危うさを見事に表現してましたね


ボクは結婚したことはないので、結婚後のことは分からないですが、結婚するとみんなマンネリ化しちゃうものなんでしょうか…?
結婚当初は遠い昔…刺激や変化といったキーワードとは距離が出来てしまいます

急に離婚を突きつけられたキャルも反省し、一念発起したものの「変わったもの」と「変えられないもの」に気がつきます

変わったのは「ダメな自分」、変えられなかったのは「妻への想い」
それはキャルだけではなく、妻エミリー、ジェイコブ、息子ロビーも同じ…
だから想定できる温かいエンディングに着地してくれたことはむしろ好感が持てて良かったです

これはボクが男だからなのか、キャルが嫌いで仕方ないワケでもないのに離婚し、その上離婚後は元夫を淋しく思う…
この辺の感情は女性独特なものなのかな?って感じました

色々書きましたが、この作品は理屈はとりあえず置いておいて、どこか登場人物に親近感を感じて、ただ楽しめばいいのでしょう

特に身に覚えがある方は、自分が辿ってきたホロ苦い経験を、笑いに昇華してしまいましょう

そんな、結婚何年か経ったイタい経験豊富なオトナにオススメしたいハートフルで笑えて、人生のリハビリにも効果的な一本です


今日の誕生日

ジェフ・ブリッジス (1949年)
マリサ・トメイ (1964年)
本日誕生日の方、おめでとうございます

それでは今日も素敵な映画と一杯を…